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相続した郡山市の実家、売るか残すか ― 判断の順番と最初にやること

執筆:セントラル不動産 編集部

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実家を相続したけれど、売るか残すか決められない。そんなときは、急いで結論を出すより、決める順番を整えるほうが近道です。期限のある手続きと、判断の材料になるポイントを一つずつ見ていきます。

実家を相続したけれど、売るべきか、残すべきか決められない。思い出のある家だけに、気持ちの整理がつかないまま時間が過ぎてしまう、という方も多いと思います。

まずお伝えしたいのは、すぐに結論を出さなくても大丈夫だということです。

ただ、相続には期限のある手続きがいくつかあります。それに、「誰が実家を引き継ぐのか」が決まっていないと、売る・残すの話し合いはなかなか前に進みません。迷っているときほど、決める順番を整えておくと気持ちが楽になります。

順番はシンプルです。まず、誰が相続するのかを固める。次に、期限のある手続きを把握する。そのうえで、家の状態や立地、維持の手間を見ながら、売るか残すかを考える。この流れに沿って、一つずつ見ていきましょう。

迷ったら、先に「誰の家になるか」と「期限」を確かめる

家族で話し合う前に、確かめておきたいことが2つあります。

一つ目は、誰が実家を相続するのか。遺言書はあるのか、相続人は誰なのか、実家を誰かが引き継ぐのか、それとも売って代金を分けるのか。ここがはっきりしないまま話し合うと、「売る・残す」の手前で止まってしまいがちです。

二つ目は、いつまでに何をしなければならないか。相続放棄や相続税の申告、相続登記には、それぞれ期限があります。

もう一つ知っておきたいのが、売ると決めた場合の順番です。査定や売却の相談、売るための準備は、相続登記の前からでも進められます。ただ、買主へ名義を移す登記(所有権移転登記)を行うまでには、実家を相続した人の名義に変える登記(相続登記)を済ませておく必要があります。

また、遺産の分け方が決まっていない実家は、相続人みんなで共有している状態です。査定や相談は先に始めて構いませんが、実家全体を実際に売るときには、相続人どうしで話し合い、全員の合意を得ておくことが欠かせません。

最初の1〜2か月で手をつけておきたいこと

相続が始まってすぐの時期は、葬儀や役所への届け出で何かと慌ただしいものです。そのなかでも、次の4つを早めに見ておくと、あとが楽になります。

  1. 遺言書があるか確認する:自宅などで保管されていた自筆の遺言書は、家庭裁判所での検認が必要です。法務局に預けられていた遺言書であれば、検認はいりません。
  2. 相続人を確定する:亡くなった方の、生まれてから亡くなるまでの戸籍をそろえて、相続人を確認します。
  3. 実家の土地・建物の範囲を確認する:法務局で取れる登記事項証明書と、郡山市から届く固定資産税の納税通知書を見比べて、土地・建物が何筆あるか、名義が誰になっているかを確かめます。庭や私道、少し離れた場所の畑などが、別の土地として登記されていることもあります。
  4. 家の中と郵便物を確認する:権利証(登記識別情報)や購入したときの資料、測量図といった重要な書類、ローンや借入れの書類がないかを見ておきましょう。
相続放棄を考えている場合は、家財を処分したり家を売ったりする前に、必ず司法書士や弁護士に相談してください。財産を処分すると、相続を承認したものとみなされて、相続放棄ができなくなるおそれがあります。

期限のある手続きを、先にまとめて見ておく

主な期限は次のとおりです。ご自身のケースが対象になるかどうかは、各窓口や専門家に確かめてみてください。

  • 相続放棄・限定承認:相続の開始を知った時から3か月以内(家庭裁判所)
  • 準確定申告:亡くなった方に申告が必要な所得があった場合、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内
  • 相続税の申告・納付:遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合など、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内
  • 相続登記:2024年4月1日から義務になりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になることがあります。それより前に相続した不動産も対象です。

もう一つ見落としやすいのが、売るときに使える税金の特例です。こちらにも期限があります。

まず、取得費加算の特例。相続税を納めた人が、相続した不動産を、相続が始まった日の翌日から「相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日」までに売ると、納めた相続税のうち一定の額を取得費(売却益を計算するときに差し引ける費用)に加えることができます。相続税の申告期限は原則として10か月なので、相続からおおむね3年10か月以内の売却が目安です。

次に、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例。亡くなった方が一人で住んでいた家(1981年5月31日以前に建てられたものなど)とその敷地を、相続から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った場合などに、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度です。

ただし、その家と敷地を相続または遺贈(遺言による取得)で取得した相続人の数が3人以上の場合は、1人あたりの上限が2,000万円になります。ほかにも、売却価格が1億円以下であること、家を耐震基準に合うように改修するか取り壊してから売ることなど、細かな要件があります。2024年1月1日以後の売却では、売った後に買主が、売った年の翌年2月15日までに耐震改修や取り壊しを行う場合も、要件を満たせば対象になります。

適用期限は、現在の制度では2027年12月31日までの売却です。税制は毎年見直されるので、期限と要件は売る前に必ず最新の情報で確かめてください。

どちらの特例も、要件を一つでも満たさないと使えません。また、同じ家と土地の売却でこの2つの特例を両方使うことはできず、どちらか一方を選ぶことになります。売ると決める前に、税務署や税理士に確認しておくと安心です。

売るか、残すか。判断の材料になること

誰かが住む予定、使う予定はあるか

相続人の誰かが住む、近いうちに建て替えて使う。そうした具体的な予定があるなら、残す理由として十分です。

一方で、「いつか使うかもしれない」という段階なら、それまでの維持の手間と費用を誰が持つのかを、先に決めておきたいところです。

残すなら、維持の手間と費用を誰が引き受けるか

空き家として残す場合でも、固定資産税(市街化区域なら都市計画税も)や火災保険は毎年かかります。

お金のほかに、手間もかかり続けます。草刈りや庭木の手入れ、ときどきの換気や通水、冬場の水道管の凍結対策、台風や大雨のあとの見回り。離れて暮らしていると、この手間が思った以上に負担になることもあります。

もう一つ注意したいのが、空家等対策特別措置法(空き家の管理について定めた法律)との関係です。管理が行き届いていない空き家は、市から指導や勧告を受けることがあります。

対象になるのは、倒壊のおそれがあるなど周りに悪影響を及ぼしている「特定空家等」と、2023年12月の法改正で加わった「管理不全空家等」(このまま放っておくと特定空家等になるおそれがある空き家)です。どちらも、市から勧告を受けると、土地の固定資産税を軽くしている住宅用地の特例が受けられなくなります。

建物の状態と築年数

長く人が住んでいない家は、どうしても傷みが進みやすくなります。

ここで迷いやすいのが、1981年5月31日以前に建てられた家(旧耐震基準の家)です。そのまま住むなら耐震性の確認が欠かせません。とはいえ、先ほどの空き家の特例の対象になる可能性もあります。建物を残したまま売るのか、取り壊して土地として売るのかも、ここで考えておきたい点です。

立地は「市街化区域」か「市街化調整区域」か

郡山市の場合、同じ住宅地でも、建物を建てられる場所かどうか(都市計画の区域)によって、土地の価格が大きく変わります。

国土交通省の地価公示(令和8年1月1日時点)で郡山市の住宅地を見ると、市街化区域の地点は1㎡あたり約2万円〜14万円で、中央値は約6.9万円でした。一方、市街化調整区域(原則として新しい市街地をつくらない区域)の地点は、約1万円〜1.7万円にとどまっています。

市街化調整区域では、新しく家を建てられる人や建物の種類が限られます。そのぶん、買い手が見つかるまでに時間がかかるケースもあります。

実家がどちらの区域にあるかは、郡山市の都市計画の図面や担当窓口で確認できます。相場を自分で調べる方法は、「郡山市の土地相場の調べ方」で詳しく紹介しています。

共有名義にする場合に知っておきたいこと

兄弟などで実家を共有名義にする、という分け方もあります。それぞれの持ち分がはっきりして、公平に感じられるのは共有のよいところです。

ただ、気をつけたいのは将来、土地と建物の全体を売るときです。そのときには共有者全員の合意が必要になり、一人でも反対すると話が進みません。また、共有者の誰かに相続が起きれば、関わる人はさらに増えていきます。

共有にする場合は、将来売るときや管理の負担をどうするのかを、今のうちに家族で話しておくと安心です。

残すと決めたら、売ると決めたら

残すと決めた場合

まずは相続登記を済ませましょう(取得を知った日から3年以内)。そのうえで、管理の担当と費用の分担を家族で決めておきます。空き家にするなら、誰がどのくらいの頻度で見回るのかまで決めておくと、話が曖昧になりません。

売ると決めた場合

売る場合は、おおむね次の順番で進みます。

  1. 相続人どうしで、換価分割(不動産を売って、その代金を相続人で分ける方法)をするか、代金をどう分けるかを話し合う
  2. 相続登記を済ませる(査定や相談は登記の前からでも進められますが、買主への所有権移転登記までには必要です)
  3. 価格の目安を確かめ、不動産会社に個別の査定を依頼する
  4. 税金の特例が使えるかを、税務署や税理士に確認する

土地を売る全体の流れは、「郡山市で土地を売る流れ」にまとめています。

売るのも使うのも難しい土地の場合

建物のない土地で、売るのも活用するのも難しい。そんなときに検討できるのが、一定の要件を満たせば国が土地を引き取る「相続土地国庫帰属制度」(2023年4月開始)です。建物がないこと、境界がはっきりしていることなどが条件で、審査手数料と、10年分の管理費に相当する負担金がかかります。詳しくは法務局で確認できます。

専門家に相談したほうがよいケース

判断に迷ったときは、内容に合わせて相談先を選ぶと話が早く進みます。

  • 相続税がかかりそう、特例を使いたい:税理士・税務署
  • 相続登記、相続人の確定:司法書士・法務局
  • 相続人どうしで意見がまとまらない、相続放棄を考えている:弁護士・司法書士
  • 売る場合の価格や売り方:不動産会社

この記事で紹介した制度は、2026年10月時点の情報です。制度は改正されることがあるので、手続きの前には最新の情報を確かめてください。

価格が分かると、家族の話し合いが進みやすくなります

売るかどうかはまだ決めていなくても、今の価格がおおよそ分かるだけで、家族の話し合いはぐっと具体的になります。

まずは目安を知りたい、という段階なら、自動査定で参考価格を見てみてください。公的な地価をもとに計算した目安です。建物の傷み具合や相続の事情も含めて考えたい場合は、個別のご相談もご利用いただけます。「まだ何も決めていない」という段階でのご相談でも構いません。

よくあるご質問

Q. 相続登記が終わっていなくても、査定や売却の相談はできますか?
A. できます。価格を確かめたり、売り方を相談したり、売るための準備を進めたりするのは、相続登記の前からでも始められます。ただ、買主へ名義を移す登記(所有権移転登記)を行うまでには、相続した人の名義への相続登記を済ませておく必要があります。
Q. 相続した実家は、いつまでに売らないといけませんか?
A. 売却そのものに期限はありません。ただし、相続登記は取得を知った日から3年以内に申請する義務があります。また、取得費加算の特例や空き家の特例など、売るときに使える税金の特例には期限があります。
Q. 遠方に住んでいても、郡山市の実家を売ることはできますか?
A. できます。現地での立ち会いが必要になる場面もありますが、郵送などで進められる手続きもあります。どう進めるかは、事前に不動産会社や司法書士と相談して決めるのがおすすめです。
Q. 家の中の荷物を片付けてから相談したほうがよいですか?
A. 片付ける前でも、ご相談いただけます。ただ、相続放棄を考えている場合は、家財を処分する前に専門家に相談してください。