郡山市の市街化調整区域の土地は売れる?売りにくい理由と、売る前に確かめること
執筆:セントラル不動産 編集部

市街化調整区域の土地は「売れない」と言われがちですが、条件によっては売れることもあります。売りにくい理由、売れる可能性を左右する4つのポイント、売り方の選択肢を、郡山市の土地を前提に整理しました。
相続した農家住宅や田畑を売ろうとして、「そこは調整区域だから難しいですよ」と言われた。市街化調整区域の土地を売るときは、まずこの「難しい」の中身を知っておくと、次に何をすればよいかが見えてきます。
実際には、市街化調整区域の土地でも売れることはあります。とはいえ、市街化区域の土地と同じ感覚で売りに出すと、なかなか買主が見つからないのも事実です。売りにくさの理由は、主に「誰がそこに建物を建てられるか」が法律で限られていることにあります。
郡山市では、市街化調整区域の面積が約20,137ヘクタールと、市街化区域(約6,886ヘクタール)のおよそ3倍あります。郡山市で土地を持っている人にとって、決して珍しい話ではありません。
そもそも市街化調整区域とは
都市計画法では、計画的にまちづくりを進めるために、土地を大きく2つに分けています。
ひとつは市街化区域。すでに市街地になっている場所や、これから市街地にしていく場所で、住宅や店舗を建てることが前提になっています。もうひとつが市街化調整区域で、こちらは市街化を抑える(建物が無秩序に増えないようにする)区域です。
市街化調整区域で新しく建物を建てたり、土地を宅地に造成したりするには、原則として都市計画法の許可を受ける必要があります。土地を造成するときの開発許可と、造成をしないで建てるときの建築許可があり、郡山市では市長が許可を出します。許可されるのは、法律や市の審査基準で認められた例外に当てはまる場合だけです。
自分の土地がどちらの区域にあるかは、郡山市のウェブサイトから使える地理情報システム(都市計画の地図)で調べられます。市の都市政策課の窓口でも確認できます。固定資産税の納税通知書だけでは区域を確定できないので、場所をもとに市の情報で確かめておきましょう。
市街化調整区域の土地が売りにくい理由
買った人が、自由に家を建てられるとは限らない
土地を買う人の多くは、そこに家を建てるつもりで探しています。ところが市街化調整区域では、買った人が家を建てられるかどうかが、その人の事情や土地の条件によって変わります。
たとえば、農業者の住宅(農家住宅)は、都市計画法の許可が要りません。ただし郡山市では、自ら耕作している農業者であること、近くに耕作地があることなどが条件です。建築確認や、敷地が農地なら農地転用の手続きは別に必要です。裏を返せば、農業をしていない人が同じ場所に家を建てようとすると別の許可が必要になり、条件に合わなければ建てられません。
今ある家も、誰でも住めるとは限らない
意外と見落とされやすいのが、すでに家が建っている場合です。
市街化調整区域の家の中には、農家住宅や分家住宅(農家の子どもが実家の近くに建てた家)のように、「その人だから」という理由で許可された建物があります。こうした建物の性質は、属人性(建物を使える人が、許可を受けた人やその家族などに限られていること)と呼ばれます。
属人性のある家を第三者が買って住むには、建物を使う人を変えるための許可(用途変更の許可)を受ける必要があります。郡山市の審査基準では、建物が原則としておおむね10年以上、適法に使われてきたことなどが条件で、場所によっては、やむを得ない事情があることも求められます。
住宅ローンが使いにくい
金融機関によっては、市街化調整区域の物件への融資に慎重です。建て替えや再販売がしにくい分、担保としての評価が低くなりやすいためです。
現金で買える人や、融資の条件が合う人に限られると、その分、買主の数は少なくなります。
価格は、市街化区域より低くなりやすい
建てられる人が限られ、ローンも組みにくい。こうした事情が重なるため、市街化調整区域の土地は、近くの市街化区域の土地より価格が低くなるのが一般的です。
数字で見ると、差ははっきりしています。国土交通省の不動産情報ライブラリで公開されている郡山市の地価公示(令和8年1月1日時点)を当社で集計したところ、住宅地のうち市街化調整区域の4地点は1㎡あたり9,710円〜16,900円でした。市街化区域の48地点の中央値(69,050円)と比べると、大きな開きがあります。地価の調べ方や区域ごとの見方は、「郡山市の土地相場の調べ方」で紹介しています。
売れる可能性を左右する4つのポイント
売りにくいとはいえ、条件によって売れやすさはかなり変わります。売る前に、次の4つを順に見ていきましょう。
1. 建物を建てられる、または建て替えられる土地か
いちばん大きいのがここです。
郡山市は、都市計画法34条12号にもとづく条例で、市街化調整区域の既存集落(建物がまとまって建っている集落)の一部を「指定区域」にしています。指定区域は市内63か所で、区域内の土地なら、自分が住むための一戸建て住宅(店舗や事務所を兼ねた住宅を含む)を、敷地200㎡以上などの条件を満たしたうえで、許可を受けて建てられます。農用地区域や、土砂災害の危険が大きい区域などは除かれています。指定区域かどうかは、市のウェブサイトの指定区域図や地理情報システムで確かめられます。
建て替えにも決まりがあります。市街化調整区域に指定される前(郡山市では昭和45年10月15日。昭和59年6月29日に広げられた区域もあります)から適法に建っている建物を、同じ用途・同じ敷地・同じ規模で建て替える場合は、都市計画法の許可は要りません。過去に許可を受けて建てた建物も、その許可の内容に合う建物に建て替えるなら、新たな許可は不要です。一方、規模を大きくしたり用途を変えたりする場合は、別に許可が必要です。また、今の建物が適法に建てられたことを確かめられないと、許可の要らない建て替えにはなりません。
どれに当てはまるかは、土地の場所・使われてきた経緯・建物の内容で決まります。売り出す前に、郡山市の開発建築法務課で「この土地で、誰が、どんな建物を建てられるか」を聞いておけば、買主に具体的に説明できます。古い家を壊してから売るか迷っている場合は、「古家付き土地は解体して売る?そのまま売る?」もあわせてご覧ください。市街化調整区域では、壊したあとに同じように建て直せるとは限らないため、解体の前の確認が欠かせません。
2. 今の建物が、どんな許可で建てられたか
家が建っているなら、その家がいつ、どんな許可で建てられたかを確かめます。建築確認(建てる前に、建物が法律に合っているかを確かめる手続き)の書類や、許可を受けたときの書類が残っていれば用意しておきましょう。
属人性のある建物かどうかで、買える人の範囲が変わります。書類が見つからないときも、過去に都市計画法の許可を受けたかどうかは、郡山市の開発建築法務課に問い合わせられます。
3. 田や畑(農地)ではないか
農地かどうかは、登記の地目(登記に記録されている土地の用途)だけでなく、今の使われ方で判断されます。登記の地目が田・畑の土地はもちろん、地目が宅地などでも、今も田畑として使っている土地は農地法の対象になります。
農地を、買主が宅地や駐車場など農地以外に使う目的で売るには、原則として農地法の許可が必要です(市街化区域の農地なら、農業委員会への届出で足ります)。市街化調整区域の農地は許可が必要で、農用地区域(市が農業振興地域整備計画で、農業に使う土地として定めた区域)に入っている農地などは、原則として転用が認められません。
自分の農地がどの区分に当たるか、転用できる見込みがあるかは、郡山市の農業委員会で確認できます。
4. 道路に接しているか、境界がはっきりしているか
建物を建てるには、建築基準法の接道の決まり(原則として、建築基準法で道路と認められた幅4m以上の道に、敷地が2m以上接すること)を満たす必要があります。農道や私道のように、見た目は道でも建築基準法の道路に当たらないことがあるので、前面の道の扱いは市の窓口で確かめておきましょう。
境界標(土地の境目に埋めてある杭や金属の目印)がない、隣地との境界があいまいといった場合は、測量や境界の確認を先に済ませておきましょう。買主がいちばん気にするのは、どこからどこまでが買う土地なのか、という点です。
市街化調整区域の土地の売り方
売り方にはいくつかの道があります。土地の条件によって向き不向きがあるので、ひとつに決めつけずに比べてみてください。
建てられる条件を確かめたうえで、一般の買主に売る
建て替えができる、条例の区域内で住宅を建てられる、といった条件がはっきりしていれば、一般の住宅用地として買主を探せます。条件を確かめた資料があれば、それ自体が買主にとっての安心材料になります。
近くの人や、土地を使える事業者に売る
隣地の所有者が、敷地を広げたい、駐車場や家庭菜園にしたいといった理由で関心を持つケースもあります。資材置き場などとして使える事業者が買主になることもあります(事務所や倉庫などの建物を建てるなら、ここでも都市計画法の許可が必要です)。土地が農地なら、ここでも「3.」で触れた農地法の手続きが関わります。
農地として、農業をする人に売る
田畑のまま売るなら、近くで農業をしている人や、規模を広げたい農家が買主の候補です。農地のまま売るときは、農業委員会の許可(農地法3条)を受けます。買主が、持っている農地をすべて効率よく耕作し、農作業に常時従事することなどが許可の条件です。
不動産会社に買い取ってもらう
すぐに売りたい、買主を探す手間をかけたくない場合は、不動産会社による買い取りも選択肢のひとつです。買主を探して売る場合より価格は低くなりやすい一方で、早く確実に手放せるのが良いところです。
売り出す前に、そろえておきたいもの
買主や不動産会社に説明するとき、次のものが手元にあると話が早く進みます。
- 登記事項証明書・公図(土地のおおよその位置や形、隣の土地との関係を示した図面)。どちらも法務局で取得でき、オンラインでも請求できます
- 固定資産税の納税通知書(郡山市から毎年届くもの)
- 建物を建てたときの建築確認や許可の書類(残っていれば)
- 測量図・境界確認書(過去に測量している場合)
すべてそろっていなくても、相談は始められます。足りないものは、確認しながら一緒にそろえていけば大丈夫です。
なお、市街化調整区域の建築や用途変更、農地の転用の基準は、見直されることがあります。この記事の内容は、2026年10月時点の制度にもとづいています。実際に売る前には、郡山市の開発建築法務課や農業委員会で、最新の基準を確かめてください。
「何ができる土地か」が分かれば、売り方が決まる
市街化調整区域の土地は、条件を確かめないまま売り出すと、買主から質問が出るたびに話が止まってしまいがちです。反対に、建てられるかどうか、どんな人が買えるかが分かっていれば、売り方も価格の考え方も決めやすくなります。
相続した実家が市街化調整区域にあって、売るか残すかから迷っている場合は、「相続した郡山市の実家は売る?残す?」で判断の順番を整理しています。売却の全体の流れは「郡山市で土地を売る流れ」にまとめました。
価格の面では、自動査定の参考価格が大まかな水準をつかむ手がかりになります。ただし、公的な地価データを基準にした目安のため、建物を建てられるかどうかといった市街化調整区域ならではの条件は入っていません。区域や許可の条件も含めて考えたいときは、個別のご相談で土地の状況をうかがいながら、一緒に整理します。
よくあるご質問
- Q. 市街化調整区域の土地は、まったく売れないのでしょうか?
- A. 売れることはあります。たとえば、建て替えや住宅の建築ができる条件に当てはまる場合や、隣地の所有者・事業者・農業をする人など、その土地を使える買主が見つかる場合です。ただ、市街化区域の土地より買主が限られるため、売る前に建築の条件を確かめておくと、売り方を決めやすくなります。
- Q. 親が建てた農家住宅を、農業をしていない人に売れますか?
- A. 売れる場合もありますが、そのままでは買主が住めないことがあります。農家住宅のように、住める人が許可を受けた本人やその家族などに限られている建物は、第三者が住むには、使う人を変えるための許可(用途変更の許可)が必要になるためです。郡山市の基準では、原則としておおむね10年以上、適法に使われてきたことなどが条件になるので、郡山市の開発建築法務課で確認してから売り方を考えるのがおすすめです。
- Q. 自分の土地が市街化調整区域かどうかは、どこで分かりますか?
- A. 郡山市のウェブサイトから使える地理情報システム(都市計画の地図)で調べられるほか、市の都市政策課の窓口でも確認できます。固定資産税の納税通知書だけでは区域を確定できないため、場所をもとに市の情報で確かめてください。


